仙丈ケ岳 登山(日帰り登山失敗)

標高 登山種類 ステータス
仙丈ヶ岳 3033m 日帰り 失敗
登山者 スペック
私 (オス32歳) 会社員。登山日時点で月の残業が105時間のSE
相棒(オス31歳) 会社員。前日まで一週間のドイツ出張で時差ぼけ。前日飲み会有
登山日 時間
2010/09/19(日) 晴 11:22〜16:13〜19:10(北沢峠〜仙丈岳頂上〜北沢峠)


先日行った登山記録です。日帰り登山については、他にも似たようなページがありますが、
ほとんど順調に日帰り登山された方のページばかりなので、失敗例を書きます。


ぐだぐだ書いてますが、ここで言いたいことはひとつ。


AM9:00に登山口である北沢峠に到着できなければ、仙丈岳を日帰りで登山できない。
(おそらく世界中のみんなが知ってると思いますが)


登山口へ向かう南アルプス林道は一般車両通行禁止なので、
麓の駐車場から専用のバスで行く必要がありますが、
9:00に北沢峠着となると始発となる戸代口を8:00発のバスが最終ラインになります。
それ以降に駐車場に着いたら日帰りはあきらめて、帰るか
山小屋で一泊しましょう。さもないと、以下のように大失敗します。


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失敗記録です。


まず、ここにバスの時刻表があります。これは、登山口から50分のところにある、
仙流荘というバス営業所のものです。


登山口となる北沢峠着は6:55着、8:55着、10:55着となります。
で、帰りのバスは最終が16:00発。登山ガイドブック等でもあるように、
全登山工程はだいたい6時間30分〜7時間となっています。
http://yamachizu.mapple.net/yamadetail.asp?mid=01-0078
9:00北沢峠を出発した場合、下山は15:30になります。
しかし、これは休憩、頂上でのまったり時間などまったく含まない時間です。
この時間でもかなり日帰りは厳しいでしょう。
日帰りで余裕ある登山をしたければ6:55着のバスで行く必要があります。
(後で知りましたが、普通は夜中に駐車場について寝て始発のバスに乗るみたいです。)


さて、我々は、9:00に仙流荘につきました。


もうおわかりですね?
今から登ったのでは帰りのバスに間に合わないのです。
小学生でも分かります。


我々のように下調べもせず、北沢峠に10:55着のバスにしか乗れない時間に到着してしまった皆さん。
日帰り登山はあきらめましょう!夜は山小屋に泊まって、朝のバスで帰りましょう!


ちなみに、今回のように連休中日だと山小屋も埋まってます。
(空きがないのに登ってこられても困るので、 登山口に登ってくるなバカ!と大きく看板がありした。)

というわけで、普通は帰りますよね。勇気ある撤退という奴です。
山をなめてはいけません。



さて、バス停で事の重大さを知った、おバカ2人の選択肢として、


1.とりあえず登る。
  
  おそらく夕方になるであろう下山直後、
  北沢峠にある山小屋のスタッフに「また馬鹿な登山客がきた」的な目をされながら
  宿泊拒否されて門前払い、そして初秋の寒さを噛み締めつつ、
  テントもなし朝まで野宿して、始発のバスでここに戻ってくる。

2.帰る。
  
  中級者ばりの登山装備を身につけて、意気揚々と中央道飛ばして
  せっかくここまで来たのに何もせずに帰る。勇気ある撤退だ。

3.ノープロブレム!

  何Kmあるか知らんけど、北沢峠から歩いてここに帰ってこればいいじゃん!
  歩ける!歩ける!余裕だって!


3.と。



バスが来る直前(5分前)に、このバス停から北沢峠まで20kmあると知りましたが、
5分前なので、勇気ある撤退の決断を下すための思考時間も足りませんでした。
(全然関係ないですが、バス停で売っていたプチトマトはおいしかったです。)

もう後にはひけません。バスに乗り込みます。


他の登山客が、バスの運転手兼ガイドのおじさんの説明を聞きながら談笑している中、
我々2人は真っ青で、まったく話が耳に入ってきません。
そりゃあ、通常の登山(全8.6km 7時間)の後に、
強制夜間歩行訓練20km(予想時間6h以上) が控えているので無理もないですが・・・。


メインの登山がおまけのようになってしまいました。
しかも、途中バスの運転手さんが、
「この春、ここで熊がでたんですよ。ほら、柵が壊れてますよね!
 まぁこの辺りはバスでしか通らないから大丈夫ですけど。」
と、余計な事を言いました。


どうやらこの山は熊がよくでるそうです・・・
今だから笑えますが、
この場所を深夜に歩く事になる予定だったので本当に笑えなかったです。


11:00 北沢峠(登山口着)

楽しい登山になるはずが、一気にテンションダウン。


11:22 登山開始


しっかりと熊出没とか看板ありますし。
こんなに暗い気分で登山口を越えたのは始めてでした。


16:13 頂上着

途中はどうでもいいです。夏だし、道が良いので、ペースを守って
まっすぐ登山道歩けば誰でも登頂できます。
今回の場合、頂上なんてあくまで途中経過でしかありませんので。
(めちゃくちゃ言ってますが、頂上からの眺めは最高です・・・)


16:45 下山開始。

この時間から下山する人間は珍しいらしく、(というか、我々のみ)
直前の山小屋(仙丈小屋)ではスタッフや登山客の何人かに
「ヘッドライト持ってるのか?」「山なめてるんじゃねーぞ」「ガンバテクダサイ」的な
あたたかい、励ましをもらったというこを注釈としておきます。


この時点では、まだ気持ちに余裕がありました。
3時間ぐらいかかるけど夏だし19時ぐらいならまだ明るいだろうと。
(ヘッドライトなんて、イラナイ、イラナイ。)
最近仕事がデスマーチ状態で気付いてなかったんですが、
もう9月末だったんですね!あとあと後悔します。


17:45 山の中なう
1時間くらい下った頃でしょうか。
心なしか、思ったより暗いことに気付きました。
「山は日が暮れるのが早いなぁ・・・ははは」
気丈を装いながらもかなり顔がひきつってきます。
万が一(本当に万が一)と思って持ってきたヘッドライトを出すことになりました。
もうあたりは真っ暗です。
もうそろそろ現れるはずの分岐点がなかなか現れないことと、
まさか使うとは思っていなかったので、
ヘッドライトの電池は2人とも1セットしかないことがあせりに拍車をかけます。


そのためか、ここまでに、


転倒 … 1回
尻餅 … たくさん


ちゃんとした登山靴を履いていますし、何回か登山経験があってこれです。
(夜間登山の経験は何度かありましたが、下山は初めてで、
 こんなに苦労するとは思ってもみませんでした。あせるとあぶないです。)

18:05 分岐着。

真っ暗(笑) あと、一時間強。
ヘッドライト切れたら本気でビバーク・・・
遭難はありえないながらも、熊に襲われるかもというこの状況。
こんな世で、こんなバイオレンスなことになるとは思ってなかったです。
(今こうして笑いながら文章書いていられて本当によかったと心から思えます。)


19:10 北沢峠着

野宿だけは避けたい一心で下山を続け、
なんとか登山口である北沢峠まで到着できました!
半分、目が潤んでいます。


しかし、我々の下山はここからが本番。
麓の駐車場まで最低6時間は歩かねばならないため、気を抜くわけにはいきません。
既に1時間以上ヘッドライトを使っていたので、
駄目もとで電池を買いに山小屋(長衛荘)へ。
(何故駄目もとかというと、山小屋のスタッフは、
 馬鹿な登山客には絶対に甘い顔はしないとわかっていたので。
「電池ありますか?」と聞いた時の「ないです」と毅然と即答されたとき、
 残念さよりも、感心してしまった。無いわけないですもんね。)


まぁ、残りは舗装道だし、
最悪携帯のライトやiphoneの蛍光灯アプリ(笑)、
デジカメの液晶等、明かりになるものなんていくらでもあるので、
そんなに心配しなかったですが・・・むしろ心配なのは熊です。


さて、ここで少し休憩。
頂上で飲もうと決めて持ってきたビールで乾杯。
いい思い出になりました。(下手すれば最後の晩餐だったので)


今夜は山小屋でぐっすり寝て、
明日の朝から登山するぞー!と談笑している登山客と、
これから熊が出るかもしれない林道を6時間かけて
20km歩こうとする我々との温度差が滑稽でした。


19:50 下山開始(第2部)
熊よけのため、iphoneで音楽を大音量で流しながら、どんどん下っていきます。


21:21 歌宿着
麓のバス停の看板でいうと1時間30分の場所です。
一応予定通り


途中、なんだかわからない動物の奇声に怯えつつ、
そして、たぶん、行きのバスで運転手さんが熊が出たと言っていた
箇所もあえて意識しないように通り過ぎ、どんどん下山。
足の豆が痛い。


00:30 戸台大橋着

実は、熊と同じくらい心配していたのが、車の通行規制するための
柵で、もし人が通れなかったらというのがありました。
行きのバスの中から見た時、結構仰々しい門で閉じられていたので。
(もし物理的に通れなかったらGame Overでした)


これ↓

見ての通り、あっさり通れたので一安心。
結局、この規制区間(およそ18km)の間、車は一切通りませんでした。
(実は、山小屋スタッフとか工事の人とかの車が通って拾ってもらえるかな
 と甘いことも考えてました。)


01:30 仙流荘のバス営業所着

着いた。全工程15時間30分、総歩行距離29km。
こんなに感動したのは久しぶりでした。相棒と硬い握手。
忘れずに、ポストに下山届けを提出し今回の登山は無事終了。


しかし最終的に日帰りではなく、0泊2日となってしまったので、
日帰り登山としては大失敗。
しかも、ここから3時間の高速と、朝から仕事だったというおまけつきです。


無計画さを反省することになりました。
次回から気をつけます。


教訓。
ちゃんと事前にバスの時間も調べましょう

以上。